職員が高齢受刑者を介護する
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深刻化する日本の少子高齢化問題。
現在、日本の総人口の65歳以上の割合が過去最高の約26.7%、これは世界でも類を見ないほどの超高齢社会を示す数字で、近い将来には約40%にまで上がると予測されています。
人口の高齢化が進んでいる近年では、必然的に高齢者の犯罪者も増加していて、刑務所の職員は高齢受刑者の介護を強いられています。
一般的に職員の仕事内容というと、
・受刑者の健康管理や持ち物チェック
・事務(報告書や郵便物、各種証明書の手続きなど)
・刑務作業の技術指導
・所内の巡回や点検
・面会や風呂、運動場などへの引率
これら通常業務に加えて、高齢受刑者のオムツを換えたり、体を拭いたり、食事を食べさせたり、中には認知症の受刑者もいるため職員の負担はかなり大きなものになっています。
対応を迫られているのは職員だけではありません。
館内のバリアフリー化や食事メニューなどにも工夫が必要になってきます。
こうなってくると、いよいよ老人ホームですね。
高齢者が犯罪に手を染めてしまう理由
殺人や暴行など重い罪で何年も刑務所暮らし・・というわけではなく、一番多いのが万引きなどの窃盗です。
万引きというと少年犯罪の代名詞ですが、現在では高齢者に多い犯罪になっています。
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こうした軽犯罪は再犯率が高く、一度釈放されても2年以内にまた再逮捕というパターンも多いのです。
高齢者が万引きしてしまう理由は、
・年金や生活保護だけでは経済的に生活が苦しい
・お金は持っているが使いたくない
・ひとり暮らしの寂しさから人を求めてスーパーへ
・孤独感や世間からの疎外感のストレスから
こうして見ると、必ずしも経済的な理由が原因ではないことがわかります。
ストレスや寂しさを紛らわしたいという気持ちから犯罪に手を染めて、それを繰り返してしまうようですね。
釈放されるより刑務所暮らしのほうがいい?
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刑務所での生活、どんな生活をイメージしますか?
見ず知らずの人間同士、しかも犯罪者同士での共同生活、ちょっと想像するだけでストレスが溜まりそうですし怖いですよね。
何より規則が厳しいイメージがありますが、それでも懲りずに再犯してしまうのはなぜでしょう?
その答えは簡単で、それほど社会に居場所がないということ。
釈放されてもまた刑務所に戻ってくる・・、というより刑務所での生活を望んでいるのです。
家族もいない、近所に話し相手もいない、家に帰っても寝るだけの生活。
家で一人で生活するより刑務所にいたほうが3食必ず食事ができ、話し相手がいて、布団で眠れるため、いい生活ができると感じる人が多いようです。
結局使われるのは多額の税金・・・
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でも刑務所の運営って税金が使われるわけですよね。
ということは、高齢者といっても犯罪者に国民の税金で食事や寝る場所を提供していると考えると腹立だしく思いませんか?
刑務所での生活が厳しいと言っても、世界的に見ると日本はかなり受刑者にとって居心地がいいと言われています。
受刑者にも人権はありますから、入院させてもらえたり、薬も処方されたり、行事ごとにおせちなど特別食も食べさせてもらえます。
刑務所に一人収容するには、運営費や受刑者の食費などで年間約300万円以上の公費が必要なのですが、トラブルが起きないように常に職員が見張っているため、経費の中でも特に人件費がかなりかかってしまうのです。
高いお金を払って老人ホームや介護施設で生活をする人もいれば、一方で社会復帰する気もなく刑務所での生活を送る人もいる、今後はもっと高齢者の犯罪率が上がっていく可能性があります。
何か対策はないのでしょうか?
もう二度と刑務所には戻りたくないと思わせるような生活を受刑者に経験させる、少子化問題を解決し年金などの経済的な問題を少しでも改善する、などいずれにしても現実的には難しいでしょう。
社会福祉が何よりの防犯になる
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高齢な受刑者の中には、「更生できない」「貧しくて万引きしないと生活できない」「若いときから犯罪を繰り返してきた」という人は本当にわずかしかいません。
つまり、人間関係や生活環境を改善できれば二度と罪を犯さないでしょうし、そもそも最初から刑務所に行くこともなかったでしょう。
生活保護や介護保険、養護老人ホームへの入所などの支援が必要な人々への支援が薄いために、生活困窮者が増加してしまうのです。
社会福祉を充実させることが、現段階では何よりの防犯となり、再犯者の減少にも繋がるのです。
私たちも少子高齢化による社会問題をザックリとしか知りませんが、もっと具体的に認識しておく必要がありそうです。